お灸の効果って?~身体の奥までじんわり届く温もりの秘密
「お灸って、熱そう…」「本当に身体にいいの?」
そんな声を耳にすることがあります。
でも実は、お灸は単に“熱い”だけのものではなく、
身体の奥深くまでじんわり届く、やさしい温熱の力で、
心も身体も整えてくれる日本の伝統療法なんです。
■ お灸のチカラは“皮膚の下”まで届いている
今回ご紹介する研究
「艾の燃焼温度と生体内温度変化に関する研究」(全日本鍼灸学会雑誌 第38巻 第3号)では、
マウスを使ってお灸の温かさが身体のどこまで伝わっているかを調べました。
測定したのは、
- 皮膚の表面
- 皮膚の下(皮下)
- さらに深い筋肉の層(筋層)
この3か所。
それぞれにセンサーを入れて、お灸の熱がどこまで届くのかを観察したのです。
結果はびっくり。
皮膚の表面が一番温かくなるのはもちろんですが、
皮下や筋肉の奥まで、じんわりと温度が上がっていたのです。
しかも、お灸を1回よりも3回連続で行うと、
表面よりも深いところの温度がぐっと高くなっていたというのですから驚きです。
まるで、ポットのお湯が外側から少しずつ温まっていくようなイメージです。

■ 身体だけじゃない、心まで温まる理由
身体の深部まで届くこの温もり。
じつは、単に「温かい」というだけでなく、
血流を促したり、自律神経を整えたり、免疫力を高めたりと、さまざまな効果が期待されています。
さらに、ほんのりとしたお灸の香りや、静かな時間に身を委ねることで、
気持ちまでホッと落ち着いてくることもあります。
ストレスが多い現代社会では、この「温もり」こそが、まさに癒し。
カイロでは味わえない、内側からのポカポカ感は、一度体験するとリピートされる方も多いんですよ。
■ お灸は“やさしい火の手紙”
お灸の火は、身体にメッセージを届ける手紙のようなもの。
「冷えてるよ」「がんばりすぎてるよ」「ちょっと休もうか」
と、やさしく語りかけてくれるのです。
冷えやコリ、胃の不調、不眠や疲れ、そして心の不安——
そんなサインを見逃さないために、お灸で自分の身体と会話してみませんか?
【参考文献】
「艾の燃焼温度と生体内温度変化に関する研究」(全日本鍼灸学会雑誌 第38巻 第3号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/38/3/38_3_326/_pdf/-char/ja