松尾芭蕉も愛した「足三里」 ~養生のツボ
江戸時代の俳人・松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の道中に、
健康維持のためにお灸をすえたことで有名なツボ――
それが「足三里(あしさんり)」です。

古来より「養生と長寿のツボ」とされ、旅人や武士たちにとって必携のセルフケア手段でした。
🌿 足三里の場所と取り方
足三里は、ひざの外側のくぼみ(外膝眼)から指4本分下、
スネの骨(脛骨)のやや外側にあるツボです。
押すと「ズーン」とした心地よい痛みを感じるポイントが目安です。
この位置は胃経(足陽明胃経)という経絡の流れにあり、
特に胃腸の不調、免疫力の低下、足の疲れなどに効果があるとされています。

🔥 自宅でできる!足三里のセルフケア
■ 市販のお灸で温める
・せんねん灸などの台座灸を使用
・1日1回、左右の足に1壮~3壮ずつ
・じんわり温かく、心地よいと感じる程度が最適
■ 指圧で刺激する
・親指で5秒押し、5秒休むを5回繰り返す
・お風呂上がりや寝る前の習慣にも◎
■ こんなときにおすすめ
胃もたれ・便秘・冷え・足のむくみ
疲れやすいとき
季節の変わり目で体調が崩れやすいとき
風邪などの後の体力低下や免疫力アップに
🧪 科学的エビデンスも明らかに
近年、足三里への刺激が免疫系に及ぼす影響についての研究が進んでいます。
白血球数の増加
ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化
自律神経バランスの改善(交感神経/副交感神経の調整)
こうした効果が確認された研究の一例がこちらです:
「迷走神経–副腎軸を駆動する電気鍼刺激の神経解剖学的基盤」
この論文では、マウスの足三里(ST36)に低強度の電気刺激を加えると、
特定の深部神経を介して迷走神経と副腎が連動し、
アドレナリンなどを分泌して全身の炎症反応を抑える仕組みが働くことが示されました。
これは鍼灸の“ツボ”に特異的な神経ネットワークが存在することを裏付ける成果です。
かつて芭蕉が長旅の無事を願って灸をすえたように、
現代人もストレス社会を生き抜くために足三里を活用してみませんか?