学会での発表内容について~不妊に悩む女性へのお灸の効果

 先日、名古屋で開催された「公益社団法人 全日本鍼灸学会 学術大会」にて、私自身の発表をさせていただきました。

 今回のテーマは「不妊に悩む女性へのお灸の効果」についてです。

■ なぜこのテーマを選んだのか?

 当院でも妊活のために来院される方が多く、治療の中でお灸も行っています。

 その中で、「どんなお灸がより効果的か?」という疑問を持ち、2種類のお灸を比較した結果を学会で発表しました。

■ 比較した2つのお灸

  1. 透熱灸(とうねつきゅう) → 米粒大のお灸で、皮膚の上で一瞬熱を伝える方法。 → 比較的強い刺激が特徴。
  2. 温灸(おんきゅう) → 皮膚から少し離してじんわり温める方法。 → やさしい温かさが特徴。

■ どんなことを調べたのか?

実際に妊活目的で通っていた患者さまを対象に、

「どちらのお灸を受けたグループの妊娠率が高かったか?」

を比較しました。

■ 結果は?

透熱灸を受けた患者の妊娠率は68%

温灸を受けた患者の妊娠率は47%

年代別では

透熱群の妊娠率は、

20代が100%、30~34歳83%、35~39歳57%、40歳以上は55%

温灸群の妊娠率は、

20代が100%、30〜34歳62%、35歳〜39歳40%、40歳以上は0%

という結果になりました。

 

 若い世代では大きな差はありませんでしたが、30代後半では透熱灸のほうが効果的な傾向がありました。

■ なぜ違いが出たのか?(考察)

 透熱灸は、皮膚の表面に短時間強い刺激を与えることで、

自律神経に働きかけ、卵巣や子宮の血流を一時的に高める作用があります。

 また、身体がストレスに強くなる「ヒートショックプロテイン」という物質も分泌されると考えられています。

 

 一方で、温灸はリラックス効果が高く、若年層など比較的体力がある方には向いているかもしれません。

■ 今後の鍼療でどう活かす?

 患者さまの年齢や体質に応じて、

「透熱灸」または「温灸」を使い分けていくことが、より良い結果につながると感じています。

 今回の発表で得た知見を、日々の治療にしっかりと活かしてまいります。

 これからも一人でも多くの方の「妊娠したい」という思いに応えられるよう、努力してまいります。


ご不明な点や「私にはどのお灸が合っているの?」というご質問があれば、お気軽にご相談くださいね。

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