東洋医学から見た食材選びと、春を心地よく過ごす食べ方
春になると、冬の寒さから少しずつ解放される一方で、
「なんとなく体がだるい」
「気分が落ち着かない」
「眠りが浅い」
「頭が重い、めまいっぽい」
「胃腸の調子が安定しない」
といった不調を感じる方が増えてきます。
気候がよくなってきたはずなのに、なぜか体は不安定。
実はこれ、春にはよくあることです。
東洋医学では、
春は“肝(かん)”の働きと関わりが深い季節と考えます。
ここでいう「肝」は、西洋医学でいう肝臓そのものだけではなく、
気の巡りを整えること、
感情の動きをなめらかに保つこと、
筋肉や自律神経のような働きに関わること
など、幅広い意味を持っています。
春は、自然界でも草木が芽吹き、上へ外へと伸びていく季節です。
人の体も同じように、内にこもっていたものが動き出しやすくなります。
その一方で、寒暖差、新生活、人間関係の変化、気疲れなどが重なると、
この“のびやかに巡るはずの流れ”が滞りやすくなります。
すると、
- イライラしやすい
- 気分の波が出やすい
- 首肩がこる
- 頭痛やめまいが出る
- 眠りが浅い
- 胃の張りや食欲のムラが出る
といった不調につながることがあります。
東洋医学的に春の養生で大切なのは、
「ためこまないこと」
「巡らせること」
「重たくしすぎないこと」 です。
つまり春の食事は、
栄養をたくさん詰め込むというより、
体がのびやかに動きやすくなるよう整える食べ方が向いています。
今回は、スーパーでも手に入りやすく、春に取り入れやすい食材を3つに絞ってご紹介します。

1.菜の花
春の養生でまずおすすめしやすいのが菜の花です。
菜の花の特徴は、なんといっても春らしいほろ苦さです。
東洋医学では、この軽い苦みや香りには、こもったものを外に出し、巡りを助けるような働きがあると考えます。
春は、気が上にのぼりやすい一方で、うまく流れないと
イライラ、胸のつかえ、頭の重さなどが出やすくなります。
そんなときに、菜の花のような春の苦みは、季節に合った助けになります。
おすすめの食べ方は、
おひたし、からし和え、白あえなど、あまり重くしすぎない食べ方です。
マヨネーズたっぷり、こってり炒め物も悪くはありませんが、
春はまず“軽さ”を意識したほうが、体に合いやすいことがあります。
2.新玉ねぎ
春の新玉ねぎも、とても使いやすい食材です。
玉ねぎは、東洋医学的には巡りを助ける食材として考えやすく、
特に新玉ねぎは、辛みがやわらかく、水分も多いため、春に取り入れやすいのが魅力です。
春はストレスや緊張で、気の流れが滞りやすくなります。
すると、お腹が張る、ため息が増える、なんとなく気分が重い、といった状態にもつながります。
そんなとき、新玉ねぎのような香りのある食材は、食卓に取り入れやすい選択肢です。
おすすめは、
薄くスライスして少し置き、鰹節やポン酢でさっぱり食べる方法。
冷えが強い方や胃腸が弱い方は、生ばかりではなく、
スープや蒸し料理で甘みを引き出して食べるのもおすすめです。
春は「生のものが必ずよい」のではなく、
その方の体質に合わせて、冷やしすぎない工夫も大切です。
3.いちご
春の果物として取り入れやすいのが、いちごです。
いちごは、春から初夏にかけての乾燥感や、ほてり感、口の渇きが気になるときにも合わせやすい果物です。
冬の間にこわばっていた体が春に動き始めると、気が上に上がりやすくなり、
のぼせ感やほてりっぽさを感じる方もいます。
そんなとき、いちごのようにみずみずしく、やさしい甘酸っぱさのあるものは、春の食卓に取り入れやすい存在です。
ただし、体に良さそうだからといって食べすぎると、
冷えやすい方や胃腸の弱い方には負担になることもあります。
数粒を楽しむくらいが、ちょうどよいことも多いです。
春の食べ方のコツ
春の養生では、何を食べるかと同じくらい、どう食べるかも大切です。
ポイントは3つです。
まず、食べすぎないこと。
春は巡りの季節なので、重たく食べすぎると胃腸に負担がかかり、かえってだるさが増しやすくなります。
次に、少し香りのあるもの、少し苦みのあるものを取り入れること。
菜の花や新玉ねぎのような春の食材は、まさに季節に合っています。
そしてもう一つは、冷えが強い方は、生ものや冷たいものに偏りすぎないこと。
春だからさっぱり、だけで進めると、足の冷えや胃腸の弱りがある方には合わないこともあります。
そんな方は、スープ、蒸し物、温かい汁物を組み合わせるだけでも違います。
まとめ
春は、心も体も動き出す季節です。
だからこそ、うまく巡れば気持ちよく過ごせますし、滞ると不調も出やすくなります。
東洋医学の春養生は、
がんばって栄養を詰め込むことより、のびやかに巡る体をつくることが大切です。
今回ご紹介した春の食材は、
- 菜の花
- 新玉ねぎ
- いちご
の3つです。
どれも特別なものではなく、スーパーで手に入りやすいものばかりです。

旬のものを、無理なく、やさしく取り入れること。
それが春の養生の第一歩です。
春の不調が出やすい方は、
毎日の食事を少し見直すことから始めてみてください。
体は、毎日の小さな積み重ねで変わっていきます。

