全日本鍼灸学会 支部認定講座参加記~美容鍼の安全、身体所見、養生訓を臨床に落とす

 久留米にて、(公社)全日本鍼灸学会 九州支部の「支部認定指定講座」に参加してきました。会場の空気に身を置くと、やはり背筋が伸びます。

 夜は久留米の街を少し堪能しつつ、懇親会では講師の先生方や九州支部の仲間と情報交換。普段はそれぞれの現場で臨床に向き合っている先生方と直接話すことで、「今、何が大切で、何が変わりつつあるのか」を肌で感じられる時間になりました。私は運営のお手伝いもさせていただき、学びと現場の両方を経験できた一日でした。

 今回の講座は大きく3つのテーマでした。

ひとつ目は「美容鍼灸の安全対策」。ふたつ目は「身体の所見(状態を見立てるポイント)」。そして三つ目が、江戸時代の健康書として有名な貝原益軒『養生訓』を、歴史や文化の背景から読み解く内容でした。

どれも方向性は違いますが、共通していたのは「治療の質を上げるための土台を固める」という点です。

 まず美容鍼灸の安全対策。美容というと「効果」に目が行きがちですが、実は安全が最優先です。顔は血管や神経が多く、しかも人によって走り方に差があります。だからこそ、丁寧な確認と、無理のない刺激量、そして施術後の観察が欠かせません。

 今回の学びを通して改めて思ったのは、「安全は偶然ではなく、設計するもの」だということ。患者さまにとってのメリットはシンプルで、不安なく受けられること、そして小さなトラブルを未然に防げることです。

 当院でも、刺激の強さや施術後の注意点、体質や体調の波に合わせたペース作りなど、これまで以上に“安心のための確認”を丁寧に積み重ねていきます。

 次に「身体所見」。
少し堅い言葉ですが、簡単に言うと「体のサインを見つける観察力」の話です。痛みがあると、どうしても“そこだけ”に意識が向きます。しかし実際の体はつながっています。姿勢、歩き方、呼吸の浅さ、表情、声の張り、疲れの出方…。こうした小さなサインが、症状の背景を教えてくれることが多いのです。

 この学びを臨床に落とし込むと、患者さまにとっては 「説明がわかりやすくなる」「原因に近いところへ近道できる」「必要以上に長引かせにくい」 というメリットにつながります。例えば同じ肩こりでも、首の緊張が強いタイプ、背中の呼吸筋が硬いタイプ、胃腸の疲れが関係するタイプなど、入り口が違えばアプローチも変わります。見立てが丁寧だと、施術の狙いが明確になり、「今日はここをこう整えるから、こう感じるはず」という説明もできるようになります。納得感は、治療の安心感にも直結します。

 三つ目は『養生訓』。

昔の本の話?と思われるかもしれませんが、ここが意外と現代に効きます。『養生訓』の本質は、特別なことよりも「日々の整え方」を大切にする姿勢です。

 食事、睡眠、心の持ち方、季節との付き合い方。今で言う“生活習慣”を、無理なく続けられる言葉で伝えようとしていた点が印象的でした。鍼灸は、体の調子を整える力強い手段ですが、いちばん効果が伸びるのは、施術と生活が同じ方向を向いたときです。患者さまにとってのメリットは、「戻りにくい体づくり」につながること。当院でも、押し付けにならない範囲で、ひとりひとりに合う“続けられる養生”を短くわかりやすく提案していきたいと思います。

 学会や講習会に参加すると、「学び」を持ち帰るだけでは足りないと痛感します。大切なのは、そこから何を変えるか。学んだことを“自分の中で終わらせない”ことを大事にしています。安全の確認を一段丁寧にする。観察の視点を増やす。生活の整え方をわかりやすく伝える。小さな改善の積み重ねが、患者さまの安心と結果につながると信じています。

 今回の久留米で得た学びは、すでに臨床の中で少しずつ反映を始めています。これからも、外で得た刺激と知見を、皆さまの体調管理にしっかり還元していきます。気になる症状や不安があれば、遠慮なくご相談ください。

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